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崗上虜囚の備忘録

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破局噴火にも備えよ

 下記は、10月13日に水戸市で行われた時局講演会『日本恢復は可能か?」2020年危機に備えて』の講師の和田正宗氏と西村幸祐氏の両氏にお渡ししたチラシである。タイトルは『破局噴火にも備えよ』であるが、内容は以前ブログ書いた複数のエントリーから作成したので新しいものでは無い。

 このチラシを書い理由には、安倍政権が財政出動をせずに消費増税を決めた事に対する批判の意味もある。

 地震・水害などについては、内閣官房の藤井聡氏が国土強靭化論で、財政出動と共に防災の必要性を説いているが、自民党内ではそれほど理解されていないようである。但し和田正宗氏は安藤裕・衆議院議員のグループに属しているので、財政出動も国土強靭化の必要性も分っている筈である。

 と言うことで、多くの国民が破局噴火の恐ろしさ知れば、政治家も動かざる得ないだろう思ってチラシを作成した次第である。

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地震・水害だけでは無い、破局噴火にも備えよ

国の重大事項は、国防(防災も含む)・食料・エネルギーである。


国の財政問題:

 「国の財政赤字で日本が破綻する」と言う話をTVや新聞で見聞きし、自分の将来を悲観している人もいるだろう。結論から言うと、国の財政赤字は何ら心配する必要は無い。国民が心配するべきことは別の事である

 財政赤字は国債の発行によるものであるが、財政赤字が大丈夫だと言う人もいる。大丈夫だとする理由は、「国債を買っている殆どは国民(95%)であり 、それは国民の資産だ」とか 「国債は円立てなので、外国人に多く買われても、円を刷って返せば良い」である。

 確かにその答えに間違いは無いが、それでも心配する人は「国債のは借金には変わりは無いのだから、国債の発行はもう止めるべきだと」言う。そのように言う人は「私達が働いて、税金を払って国は保っているのだから、節約すべきだ」とか「無駄な公共事業は止めるべきだ」とも言うだろう。

 その考えが正しいかどうか以前に、諸君がまず再認識しておかなければならない事は、現在世に出回っている[お金]、即ち貨幣の事であるが、[お金]は誰かが銀行から借りなければ世に存在しないと言う事である。諸君のポケット・マネー、銀行預金している[お金]等々、全ての[お金]は誰かの借金なのだ。

 では国が借金を全て返したらどうなるだろうか。現在、国の借金は約1千兆円。GDPは約500兆円。[お金]は経済の血液と言われている。もし国が借金を返したら市場からお金は無くなり、日本経済は即死である。尤も国民の預貯金が1千400兆円ほどあるので、市場から[お金]が全て無くなる訳でもないが、それでも国が借金を全て返したら、やはり日本経済は衰弱死するだろう。勿論、諸君は貧困になる。

 次の式を見て頂きたい。覚えておいて得になる訳では無いが損になる事はない。

・税収=名目GDP×税率×税収弾性値

・国内総生産(GDP)=個人消費+民間投資+政府支出+純輸出

   (純輸出=輸出-輸入)

 税収弾性値とはイカサマ経済学で使用するサジ加減値で、大体1である。これらの式で分るようにGDPを上げるには、政府支出を上げれば良く、税収もGDPを上げれば増えるのだ。でも政府支出を上げるには国債発行するのだから、借金も増えるのではないか心配する人もいるかかも知れない。その心配を念頭に置いて別の話をしよう。

 室町時代、日本は流通が盛んになり銭が不足して明から明銭を大量に輸入していた。今で言えば何かを輸出して外貨を稼いで目出度し々となるのだが、馬鹿々しい事に日本が輸出していたのは銅であった。明は少ない銅で沢山の銅が得られて大儲けである。足利幕府が銅銭を鋳造すれば幕府の台所も潤い、日本経済も活性化したのだが、足利幕府は将軍共々明銭を有り難がっていたのだろう。ひょっとしたら明から脅されたのかも知れない。「幕府が銭を鋳造したりするとハイパー・インフレになる」とか。

 この馬鹿しさは現在にも通じる。確かに上記の式では純輸出はGDPを上げる要因となっているが、足利幕府の例を見れば、わざわざ外貨をを稼がなくても足利幕府が[お金]を増やすだけでGDPは上がったのだ。国内に必要な[お金]の量は、その国の潜在的な経済力に見合った量になるだろう。『[お金]の量を増やす→経済活動が盛んになる→相乗効果でさらに潜在的経済力が大きくなる→[お金]が足りなくなる→・・・』で、現在でもドルを稼がなくても日本政府が円を増やす、即ち政府支出 をするだけでGDPは上がるのだ。

 従って、上記のGDPの式に輸出が入っている事に目を奪われるべきでは無い。勿論、日本に無い石油等を輸入する代金を得る為の外貨獲得は必要である。しかし純輸出(輸出-輸入)はゼロを目標にすべきなのだ。第一、輸出などで外貨を稼ぐ事とは外国人の為に働く事ではないか。そして足利幕府に通じる馬鹿しさは、安倍政権が政府支出を増やさず、カジノとか観光とかで外貨を稼ごうとしている事である。

 [お金]の量を増やす方法であるが、現在[お金]の量を増やすには、①「民間が銀行から借りる」、②「政府支出を増やす」の二つが有る。だが日銀のゼロ金利政策にも関わらず日本GDP上昇率が世界最低レベルだったのは、①「民間が銀行から借りる」が効果がなかった事を意味し、②「政府支出を増やす」をしなかったからである。

 そこで国の財政赤字が国民が心配するべきことなのかどうかの問題に立ち戻ろう。現在、財政出動する為の国債は日銀が市中銀行から大量に買い入れており、それが国の借金として国民の心配事となり、また「日銀の国債の大量買い入れはハイパー・インフレになるのだ~」と騒ぐ人もいる。

 しかしハイパーインフレになるような国は、国民のスキルが低いとかインフラが整っていなかったりとかで、元々物が作れない発展途上のような国であり 日本やアメリカやドイツのような先進国はハイパー・インフレに絶対にならない事を日本国民は知るべきである。先進国では仮にインフレになっても給料も上がり生活の質は変わらない筈である。インフレ率の調整も可能である。先進国で心配すべきはデフレ不況なのだ。

 何故なら、先進国の国民に幾らスキルが有っても仕事が無ければスキルは落ちる。人のスキルは学校教育によるものだけでは無い。むしろ仕事を通してこそスキルが上がのだ。その仕事が無くなる原因はGDPが落ちる為で、GDPが落ちるのはデフレを放置したことにある。更にデフレを放置すれば、発展途上のようにハイパーインフレを起こす国になるだろう。従って国民が心配すべきは国民のスキルが落ちる事、国のGDPが落ちる事、デフレ不況を放置することである。

 では財政赤字問題はどうかと言うと、日銀は政府の子会社である。国は国債の利子を日銀に支払わなければならないと言っても、日銀は利益の95%は国庫に納めなければならないのである。従って国が支払わなければならないのは利子の5%でしかない。

 然しながら足利幕府と明銭の例で話したように、またGDPの動向が政府の責任なら、本来は[お金]の発行は政府が行うべきであり、日銀は政府の機関であるべきなのだ。ベーシックインカムとかヘリコプターマネー政策が囁かれてる昨今、これからは、中央銀行の存在の有無が問われて来るだろう。それどころでは無い。更にこれからは、貨幣制度を続けて良いものかどうかも問われて来る筈である。従って、国の財政問題は過渡期の制度上の問題と割り切るべきである。 


破局噴火に備えよ:

日本列島は巨大噴火が度々発生する国である。現代日本人は破局噴火を経験していないが縄文人は経験した。それは7300年前起きた鬼界カルデラの噴火である。噴出量は20世紀最大の噴火と言われるピナツボの10km3の15倍の凡そ150km3である。巨大な噴煙柱は冷えず火砕流となって海を渡り50km離れた大隅半島・薩南半島を襲った。

 火砕流と言えば、雲仙普賢岳の火砕流を記憶している人もいるかと思われるが、破局噴火の火砕流は、雲仙普賢岳のが噴煙が山腹を駆け下りるような形状なのに対して、爆発により上空に達した高温の噴出物が降下し、その降下するエネルギーと発泡するときのエネルギーにより、海を渡り山を駆け上るのだ。何れにしてしても人間なら即死する程の高温である。それが鬼界カルデラの噴火では、半径100kmまで及んだのである。火砕流は鬼界カルデラの南側でも、50km以上離れた屋久島にも達し、九州最高峰の宮之浦岳1936mの頂上まで覆ったのである。


              (拡大)
 
図1:赤店は火山。赤丸の大きさは噴火規模から想定される火砕流の範囲。白の楕円は加久藤カルデラが鬼界カルデラ規模の破局噴火をした場合の想定される火山灰の降る範囲である。実際はこれより大きい場合もある。例えば阿蘇4と称する噴火では、北海道で15cmの降灰とか。


赤丸の大きさは、火山爆発指数VEI7かVEI6を示す。火山爆発指数VEI7の噴出量は1000km3~100km3であるがVEI7を150km3の鬼界カルデラと同規模に統一し、火砕流半径を100kmとした(実際は阿蘇4の噴出量は400km3で火砕流半径150km程ある)。VEI6は噴出量100km3~10km3であるが30km3として統一し、噴出量150km3のVEI7を基準に火砕流半径を計算した。

加久藤カルデラの陸地での降灰範囲は、鬼界カルデラの降灰範囲の平行移動である。本来なら季節風や灰大きさの分布と到達高度から降灰範囲を算出すべきであるが情報も無いので楕円は推定である。

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  火山の恐ろしさは火砕流だけではない。火山灰も生物に甚大な被害を与える。粉塵となった灰はあらゆる処から侵入し、人の呼吸器に障害を与えるのだ。

 鬼界カルデラの噴火では日本各地に降り積もった火山灰の厚さは、凡そ600kmは生れた淡路島付近でも20cmにも及ぶ。融けぬ雪が山にも平地にも海にも降り注いだ事を想像出来るであろうか。火砕流を免れても、火山灰で陸の孤島となった地域の人は助けが来なければ死を待つしかない。

 破局噴火の被害はそれに留まらない。次に起きるのは山間部に降り積もった灰が雨が降る毎泥流となって平地を襲うのである。木々は枯れ農業も壊滅状態になるだろう。そして被害を受けるのは日本だけでは無い。噴煙は世界を巡り寒冷化を促す。穀物は不作となり世界は食料不足になるだろう。だとしても国が有る限り、政府が機能している限り、国力に合った対処をしなければならないのである。

 日本列島では鬼界カルデラ以上の破局噴火は7000年間に1回程度発生しているのだ。なので破局噴火が想定外は許されない。国民のスキルを上げ、経済力を上げるのは脆弱な国にする為ではない。経済力を上げるのは、正に破局噴火のような大災害にも対処する事が出来る人材の育成や技術投資・インフラ投資をする為なのである。

 そう考えると、発展途上国の成長を取り込んで我国もそのお零れを預るなどの論が如何に馬鹿げた事が分るだろう。日本がやるべき事、投資すべき事は山のようにあり、それを行うことで、国土は強靭化し、国民のスキルも上がり、国民も安心して生活が出来、日本のGDPは上がるのだ。

 では何をやるべきか。今直ぐにでもやらなければならない事は、破局噴火が起きる可能性が高まったとき、どう対処するかの計画案を作ることである。

 例えば、図1は鬼界カルデラ規模の破局噴火が霧島近辺の加久藤カルデラで起きた場合の火砕流と火山灰の降灰範囲の想定図である。これによると九州の南半分は火砕流に覆われ、名古屋近辺まで20cmの火山灰に覆われることになる。

 被災地のレベルの規定、被災地のレベル毎の避難先の確保、避難路や移動手段の選定、食料医薬品の確保とその分配手段等を決めておくべきだろう。恐らくこ絶望的な気持ちになるだろうが、先に決めているかいないかでは雲泥の差が出る。例えば1815年に鬼界カルデラと同程度の破局噴火が起きたインドネシアのタンボラ火山の噴火では、前兆である最初の噴火から破局噴火まで5日しかなったのである。

 救助規定関連の法の作成も必要になるだろう。実はこれは救う人、見捨てる人を規定する過酷な法なのである。この法律が無く、現地の救助員の判断に任せたら救助する側共々倒れになったり、助かる人も助からない場合も出てくるだろう。

 そして国であるが、まず気象庁に破局噴火が起きる火山の特定と、現在もしその火山が噴火したら、どの程度の火砕流が起きるか、降灰物が場所によってどの程度のになるのかを調べさす事である。幸いにして各地の ボーリング調査の際に採取された地中サンプルは地質調査所や防災科学技術研究所などに有るので、火山の特定とその火山の噴火時期と噴出量から、どの火山が現在噴火した場合の噴火規模を推定するのは、それほど困難な作業ではない筈である。

 それを元に、図1よりもっと詳細な地図を火山毎作成しておけば、救助活動や復旧活動を行う自治体や関連省庁や民間の参考資料として役立つ筈である。

 次に自衛隊であるが、気象庁などの情報から学習することと、出来る事出来ない事を見極めた訓練である。例えば現在保有している車両が移動出来るのは火山灰何センチまでとか。

 そしてこれから必要なのは、破局噴火を想定した装備の充実である。例えば東日本大震災のトモダチ作戦で活躍した中には原子力空母も有った。外気を使用せずに高速で航行できる原子力空母なら有る程度の火山灰の中でも運用できるので、火山灰対策と揚陸設備を施した原子力空母級の船が数隻有っても良いのでは無いだろうか。火山灰に強い航空機の研究も必要になるだろう。

 では破局噴火の場合では電力はどうなるだろうか。勿論太陽光発電や風力発電は使い物にならないだろう。外気を使う火力発電もやはり問題が発生するのではないだろうか。原発はある程度の降灰地域なら稼動できるだろうけど、送電線が灰によりショートして断線する可能性がある。又2018/09に起きた北海道の地震では北海道全域が停電になった。原因は道内の火力発電所が地震により緊急停止したことと、電力の需給バランスを一箇所で管理していたことである。

 そこで注目すべきは地域分散に適した小型原子炉4S炉である。4S炉は地下埋設なので同じく地下埋設した電線でと地中により全域一斉停電のような事態にはならない筈である。

 何れにしても火山灰で孤立化した地域に電力が無ければ、人が生きて行くことは出来ないであろう。原発アレルギーで4S炉を捨て人も見捨てるか、4S炉で人命を助けるか、結局はその選択は政治家の勇気次第。国民を見捨てる政治家に明日は無い。

 降灰が治まれば復旧となるが、日本全土で土木作業となるだろう。当然人手は足りなくなるのは目に見えている。それなら今から無人で動く土木機械を設計しておくことだ。国防も防災も同じなので国防予算で無人土木機械の開発するべきであろう。

 一般人が考えても、その他にもやるべき事は山のように考え付くが、政治の世界ではLGBTとかMeTooとか重箱をつつくような話ばかりである。

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備考:小型原子炉4S炉の説明

 多くの日本人が放射線ヒステリー状態に陥って原発忌避になっている現在、世界は次世代原子炉(TWR)についての研究が静かに進行している。幾つかの方式の案があるが、その中で尤も注目されているのが小型原子炉4S炉である。

 4S炉は、低レベル放射線研究の火付け役になった元電力中央研究所名誉特別顧問・服部禎男氏の発明品である(特許は服部氏と東芝が持っている)。4Sの意味は、スーパー・セーフ、スモール・アンド・シンプルの略である。

 4S炉は、一言で言えば30年間使い切りの人手要らずの原子力電池といえるだろう。出力は2万~1万キロワットで、これがあれば砂漠や離島に住む人々にも電力を供給出来ると、発展途上国が最も期待している原子炉である。

例えば、1万キロワット級のカプセル収納型小型原子炉『ネーイチャー・セル10』の特徴は、

1、燃料棒交換なしの30年間使いきりの原子炉である。

2、燃料棒交換なし制御棒なしの為、運転要員が不要である。

   但し、監視員2名を置く

3、負荷追従で動的機器なしの為、高信頼性を有する。

4、超安全のため、都心部にも設置可能である。

5、運転要員が不要の為、インサイダーテロを回避できる。

6、全部をカプセル化し、輸送・据付が容易。

7、現場工事を無くして、工場での高品質量産用設計が可能。


 現在日本にある原子炉は軽水炉だが、軽水炉が水を使う理由は核分裂で飛び出した中性子が、水の衝突により揺らぎが大きくなること(熱中性子)で、他の核分裂物質に衝突しやすくなることを利用して核分裂連鎖反応を維持しようとするものだが、、小型にすると中性子は外部に漏れて核分裂連鎖反応を維持出来なくなるので軽水炉は大型にせざる得えず、また軽水炉を停止させるには、数百本の制御棒を入れる必要がある。

 逆に4S炉は、小型で核分裂連鎖反応が維持しにくい構造なため、燃料棒の連鎖反応を起こさせたい部分のみ黒鉛反射体で囲むことで核分裂連鎖反応を維持している。ところがこの性質は止め易いことでもあり、緊急停止させるには、実際に黒鉛反射体を下に落とすだけで原子炉は完全停止(軽水炉は完全停止しない)する。これが4S炉の安全設計の一つである。

 又、軽水炉の内部の水は熱交換の為にも使われているが、水は沸点が低く、高温になると容器が爆発する恐れがある。それに対して4S炉は熱伝導の良く沸点が高いナトリウムで熱交換を行っているので爆発しない。又上4S炉は小型で熱容量が小さい為、停止した原子炉は風が吹いただけで冷えてしまう程で、停止後の外部電源からの冷却装置等は不要である。更に東芝の技術陣は、稼働中の冷却ポンプも可動部分のないポンプを実現させ、これにより安全率は一段と高まった。

 軽水炉の燃料棒は、ウラン/プルトニウムを酸化させ焼結させたペレットをジルコニウムの被覆管で包んだものである。酸化させる理由は金属のまま高温となると、ウラン/プルトニウムが水と反応するのでこれを避ける為だが、福島第一のように冷却が出来なくなると、被覆管のジルコニウムが水と反応し、水素爆発を招く至ったのは記憶に新しいことである。又、燃料本体のペレットは、酸化物であるため熱伝導が悪く、燃料の中心部は高温となり、高温・冷却を繰り返すことで、ペレットや被覆管がひび割れたりと、燃料棒の寿命が短命となっている。

 それに対して、4S炉の燃料棒は、ウラン/プルトニウムを溶かし込んだ合金である。金属燃料は非常に耐久性があり、熱伝導が高く内部が高温にならない。因みに4S炉は黒鉛反射体を30年間かけてゆっくり上げて燃料棒の核分裂連鎖反応部分を少しずつつずらす方式なので、軽水炉で問題になっている発生するプルトニウムも、燃料と一緒にかなり燃えてしまうのでプルトニウム問題が無くなる。

 4S炉の本体は高さ6m程、地下埋設が基本で、200坪程度の敷地があれば4S炉を設置することが可能である。4S炉が小型である事の意味は大きく、それは工場での大量生産が効くからである。従って工場で生産したものを現地に設置することになるだろう。また廃炉も簡単、設置と逆に工場に持ち込んで、燃料棒は再処理して再利用することになる。

 この4S炉は、ビルゲイツも目付け、ヴァンダービルト大学のジュームス・E・アワー氏も期待し、NHK『バークレー白熱教室』の講師として知られているUCバークレー物理学教授リチャード・ムラー氏もお勧の原子炉である。ムラー教授は、反原発の人が問題視している核廃棄物の貯蔵について、「技術的に難しい問題では無い。既に解決済みであり、問題となるのは公共認識と政治的駆け引きである」と言っているが、4S炉は核廃棄物問題もクリアできる可能性をもった原子炉なのだ。

 現在の原子力発電所を4S炉のアレイに置き換える方式も有りるが、市町村への分散配置方式にするべきであろう。それと送電線のスマートグリッドと組み合わせると、高圧送電線は不要になり、災害にもずっと強くなるからだ。太陽光発電や風力発電を排除すべきでは無いが、地震・火山、台風を考えると、小型原子炉の設置は必要且つべからざるものになる筈である。

 ところが現在、この日本発の4S炉は、東芝の不正会計問題で、日本の物になるかどうか危ない状況になって来た。へたをすると、いざ日本で必要になったとき、その特許は外国の物になって日本では作れず、外国から買うことになっているかも知れない。

 だが、一番の問題は国民の無理解、政治家のエネルギーや災害に対しての危機感の無さである。


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 どうであろうか。噴火が地震より恐ろしいと知ったのは『火山灰は語る』町田洋著)であった。各地の堆積した火山灰から鬼界カルデラ等の破局噴火の規模を推定した町田洋氏は、先駆的な火山学者である。彼の努力の甲斐あって現在は政府主催の勉強会なども行われているようだが、何故か政治家達の腰は重い。

 火山爆発指数VEI7クラスの巨大噴火の発生頻度は日本全体で1万年(7千年説も有る)に1回程度だが、死者数を1万年で割れば、1年当たりの死者数は地震災害と変わらなくなるのに予算が付かないと嘆いていた火山学者もいる。

 鬼界カルデラから7300年たった。これから何も起きないと思う方が異常である。破局噴火も踏まえて国土強靭化に舵を切れば、カジノや観光などで外貨を稼がなくても確実にGDPは上がり、国民のスキルも上がり、全ての国民に職が与えられるのだが。
     

 それにしても「外国人の為に国民の労力を割いて僅かな外貨を得るカジノ」を推進する安倍政権は異常である。馬鹿な仕事に国民の労力を割くのが目に見えているのに、外国人労働を受け入れ拡大は矛盾しているではないか。

 デフレ脱却の為の財政出動無し。加えて消費税増税と移民拡大の為の入管法改正。完全に反安倍政権になった。打倒安倍政権!

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和田正宗氏応援

平成30年10月13日(土)に茨城県民文化センターで行われた、西村幸祐氏と和田正宗氏が講演した時局講演会に行ってきた。正直あまり期待していなかったのだが中々面白かった。
 
我々が日本の危機と感じている点は西村幸祐氏は勿論、和田正宗氏も全て共有している事が分った。
例えば、両氏の対談では、
・中核派と革マル派が手を握っている(本来有り得ない事が起きている)。
・NHKは民営化してよい。
・(追い詰められた)メディアが是から何か思い切った攻勢に打って出る可能性がある。
・皇室を貶めるメディアがあるが、皇室を廃止しようとする工作である。
・宮内庁内部に工作員がいる。
・憲法改正と同時に旧宮家の復活をすべき。
とか。
 
和田正宗氏については、憲法・皇室の話を重点的に話されたが消費税増税問題についても理解しており、その他の事も非常に勉強されているようだった。それでいて気さくである。
 
和田正宗氏が話した中で印象に残ったのは、アメリカの情報関係者が日本人をスパイなどの情報関係の仕事をさせてはいけないと言う話だ。理由は日本人は感が優れていて、日本がまじめに情報活動をするとトンデモナイ事になると恐れているようである。彼らが何故そう思ったかというと、インターネット上のその手のゲームで圧倒的に強いのは日本の子供達で、彼らにとってなんでそうなるのか分らないが、そのような日本人の子供をヘッドハントしたいようである。
 
「日本人が凄い」と、ありきたりの話をする政治家もいるが、彼らをあまり信用することは出来ない。皆に好ましい事を言えば支持を貰えると思っている政治家もいるからだ。しかし和田正宗氏のように日本人の優れた処を自分で見つける政治家なら十分信用できるだろう。例えば『中韓を知りすぎた男』と言うブログがあるが、自分がブログ主を信用したのは、エントリー『日本語の力』のアーナンダ僧正との会話の話からである。
 
と言う事で、自分としては安倍首相より和田正宗氏を推薦したい。但し、一つ心配な事は胴周りである。

思考停止は罪である

【経済討論】財務省主導の経済でいいのか?日本[桜H30/4/14]
 
久々に見ごたえのある討論番組であった。
この討論会での結論は「間違った財政再建論に誑かされて、今直ぐにでもやらなければならない将来投資をしないと、20年後は日本が消滅する」である。
 
これは、この討論の参加者全員の合意の筈であるが、何の為の増税阻止か、何の為の財政出動か、なんの為の何の為の経済政策か、が合意されてなかったのが残念である。藤井聡氏は言葉の端々で言っており、恐らく参加者も頭の隅では分っていたのだろうが、きちんと認識していないと増税問題やデフレ問題に端を発している経済政策の話が、今後経済の為の経済論議になりかねない事になるだろう。
 
そこで改めて、何の為の増税阻止か、何の為の財政出動か、何の為の経済政策かを言うと、ずばり国防の為である。
 
食料とエネルギー確保、国防は国の根幹である。食料の有無は直ぐ生死に結びつくので重要性は分るだろう。エネルギーの有無も、日本のような高度な工業社会ではエンルギー不足も生死に結びつき、重要性も理解できるが、江戸時代のような生活を考えればかなり倹約できるはずである。それでいて不幸せになるかと言えば、そうとも言えない。
 
例えばブータンはGDPを追求することを止め、GNH(国民総幸福量)の追求を国策としている。そして97%の国民が幸せと答えている。
 
江戸時代も同じであった。「日本国民ほど幸福に充ちた国民はいない」エドーワード・パーリントン・ド・フォンブランケ将軍1861年、「平和、裕福、明らかな充足感を見出した」オールコック1860年、「私はいたるところで子供達の幸せそうな笑い声を耳にした。そして一度も生活の悲惨を目にしたことがない」ヒュースケン1857(注、『鉄砲を捨てた日本人』より)、であった。
 
江戸時代、日本人は貧しかったが、不幸せだった訳ではなかったのだ。経済力がなくて幸福は得られるのである。日本が経済一辺倒ではなく、ブータンのように国民の幸福度を追求することになんら異存は無い。
 
だが江戸庶民の幸せな生活を打ち破ったは黒船である。日本は黒船来航後、富国強兵に舵を切り、欧米による植民地化を逃れることが出来た。だが、ブータンは中国の領土侵略から国民の幸福を守れるだろうか。無理であろう。ブータンは経済力も無く、スイスのように自力で国防を行えることも出来ない小国だからである。
 
そして、国防力が無ければ、国民のささやか幸せだって守れないのである。つまり国防力は食料についで重要なのである。この事は以前弊ブログで言ったと思うが、国防力は科学技術力であり、科学技術力は経済力から生まれてくるのである。
 
高橋洋一氏によると、国が財政出動できる金額は数年間毎年200兆円程あるそうなので後は国民の能力だけである。まあ、お金が有るからもっと働けの話である。そうなると外貨を稼ぐなどの話が如何に馬鹿げた事だと分かるだろう。カジノや観光は勿論、輸出産業も外国人の為に国民の能力を割いているのである。この点はGDPの中には輸出の総額が入っているので、特に産経の田村秀男氏なんかは自由貿易の必要を説くかも知れないが、必要な外貨は資源を輸入するための金だけで、それ以上は必要ではないことを認識すべきである。
 
後は、どのような形で財政出動をするかであるが、日銀の国債買取の裏事情を知っている高橋洋一氏は何でも有りであるが、健全財政論に洗脳された財務官僚・経済学者・政治家・マスコミそして国民を如何に納得させるかである。財政赤字なんかは幾ら大きくなっても気にする必要は無いと言う高橋洋一氏に対して、三橋貴明氏は一度財政赤字というものをチャラにしないと国民は納得しないのではと言うが、この際、日本は政府紙幣を発行し、輸出なんぞが入っているGDPなんかは止めにして、GDPに代わる経済指標で経済政策を行う国に脱皮すべきと思うが、どうだろうか。
 
討論番組の中では、国の借金は1300兆円、資産は900兆円、400兆円は子会社日銀が持っているので、1300兆-900兆-400兆=0、即ち国の借金は0円と言っているが、そんな事を知らなくても、誰かが借金をしないと世の中に存在しないお金を、国が増税して借金を返済する側に回ると日本経済が縮小する事が、何故分らないのだろうか。
 
この事について、渡邉哲也氏は財政破綻論者は自分の頭で考えないのだろうと言い、藤井聡氏は冒頭での「思考停止は罪である」と言った。『思考停止は罪である』これこそが今回の討論番組の最も重要な結論である。
 
ついでにもう一つ、討論番組の中で科研費の問題が出てきた。Wikiには、
1、学術上重要な基礎的研究(応用的研究のうち基礎的段階にある研究を含む)の遂行のための助成
2、学術研究の成果の公開のための助成(学術書の出版費の補助、学術団体による学術雑誌刊行費の補助)
3、学術研究に係る事業への助成
とあるが、この科研費、山口二郎法政大学法学部教授に6億円も出ているのである。それに対して山中伸也京都大学教授の科研費は、なんとたったの2億5千万円である。
 
山中伸也教授は世界の国が渇望する知的人間であるが、山口二郎教授は典型的な「自分の頭で考えない思考停止」人間である。つまり米国で「IYI(Intellctual Yet Idiot)=知的バカ」と揶揄(やゆ)される高学歴エリートと同じである。幾らこれから財政出動の大盤振る舞いをするといっても、こんな教授の科研費は0円でいいだろう。こんな人間に金を与えるのは、豚に真珠どころか、むしろ××に刃物ではないか。

杉尾議員は放送事業者とお友達

森友学園問題も加計学園問題も、学園理事長が首相のお友達だから担当役人が忖度したのだろう、との話から始まった。確かに加計学園の理事長は首相のお友達だったが、加計学園問題は文科省のサボタージュによるものであった。この問題は既に収束しているが、むしろ問題の本質であるサボタージュの理由が、文科省による獣医学会とその関係する政治家への忖度ではないかの疑いが出てきているのだ。
 
では森友学園問題に関してはどうかと言うと、その後の籠池理事長の行動を見ると、首相が秋葉原で都議選の応援演説をするときに理事長夫婦共々反安倍であるTBSに付き添われて登場し、夫人が「安倍の人殺し!あいつが全部悪いんだ」と叫んだり、息子が国会前で共謀罪反対デモに参加したりと、籠池理事長は首相のお友達どころか反安倍側だったのである。
 
そこで森友学園問題を、あくまで役人の首相への忖度にしたい勢力は、今度は昭恵夫人に焦点を合わせ、近畿財務局が夫人に忖度して、不当に高いゴミ撤去費用を算出して土地の安く売ったのだろうと言出だしたが、ゴミ撤去費用を算出したのは大阪航空局であった。近畿財務局は森友学園側の藤原工業が算出した9億6千万円を蹴って大阪航空局に算出してもらったのだ。当然そんなことを昭恵夫人が知るはずもない。
 
尤も、ゴミ撤去費用を大阪航空局が算出した話は1年前から分っていた話である。従って、森友学園問題は籠池理事長の詐欺の話と、そこから派生した財務省の改竄問題だけになって終わるだろう(大阪航空局によるゴミ撤去費用算出が妥当だったかの問題は残るかも、それより辻元清美と連帯ユニオン関西生コン支部の問題の方がメインかな)。
 
でも此処で言いたいのは森友学園問題ではない。マスコミや野党が、権力を持つ者の「お友達」と「忖度」を如何に問題にしていたかである。彼等に取って「お友達」と「忖度」は、それ程大きな問題だったのである。
 
【杉尾秀哉議員は放送事業者のお友達、なので忖度しました
そこに現れたのが、首相が目指す放送事業見直しをすることに対しての杉尾秀哉議員による国会での発言である。
 
「首相は一部のテレビ局や放送内容に不満を持っているのではないか」と指摘し、放送法4条の撤廃について「4条は放送局にとって政治や公権力の介入を許す口実にもなりうるが、介入から放送の自立性を守る盾にもなる。撤廃されると偏向報道を助長しかねない」と言ったのである。つまり既得権者であるTV放送事業者が損になる放送事業見直しを牽制したのである。
 
Wikによると、杉尾議員は元TBSテレビ報道局記者、解説委員とある。言わばTBSの友達である。否、只のお友達どころか「ひるおび!・第2部(2017年3月23日、ゲスト出演」、「BSフジLIVE プライムニュース(BSフジ、2017年3月24日、ゲスト出演)」とあるので、権力、即ち絶大なる宣伝力持つTV放送事業者に利益供与を受けている政治家ではないか。
 
現在、15秒間放映するテレビのCM料金は、8万~15万×視聴率、だそうである。仮に『ひるおび』の視聴率が7%として『ひるおび』で30秒間発言すると、112万~210万円程のCM放送をしたことになる。
 
国会議員の中にはTVに出て発言したい者もいるだろう。下手なチラシやポスターなどより絶大な宣伝効果があるからである。しかし殆どの国会議員は出れない。ところが杉尾議員はTVに良く出ることが出来、100万円以上の宣伝をただで行えるのである。勿論そんな事が出来るのは、杉尾議員がTV関係者の友達だからである。否々、只のお友達ではない。お友達(TV放送事業者)に忖度して「放送事業見直し」を潰すために一生懸命働くような関係だからである。
杉尾秀哉とTV放送事業者はお友達、お互いの利益を補完するウィンウィンの関係・・、じゃないだいろう。受託収賄罪と贈賄罪の関係ではないか。

Fー35など買うな!防衛費を増額しろ!

【防衛費を増額する意義】
支那の脅威が言われながら日本の防衛費は依然1%未満である。この数字を見る限り、安倍政権は国防に関心がないようである。では1%超えれば評価されるかと言えば、それも無い。少なくても防衛費を3%近くにしないと、この政権は国防に無関心と言われても仕方が無いだろう。
 
そう言うと「何処にそんな金があるのだ」とか「金が無いから何も出来ないのではないか」と言う御仁が現れて来るが、それは「誰かが借金をしないと、お金は世の中に出て来ない」ことが分っていないのからである。そして借金とは投資のことである。
 
現在の日本のデフレギャップは20兆円程有るようであるが、誰かが借金をしないとこの金は世に出て来ない。と言う事は、現在の日本は金が無いどころか、投資先を待ちわびた金が20兆円も有るのである。そして国防は切迫した需要であり、また長期の保険でもあるが、過去の事例を見て分るように投資でもあるのだ。
 
では国防が投資で有った事例を見てみよう。否、そんな事を聞かなくても、GPS、インターネット、ICなどが軍事技術から生まれた事は知っていると言うかも知れない。だが無駄な戦争と思われている戦前の日本の軍事費、即ち戦前の日本の国防への投資の成果がどのようであったかを最認識すべきではないのか。そうは言っても、艦船も航空機も全て海の藻屑になったのだから、認識すべきは投資の成果である人的資産の事である。
 
【追いつきつつあった日本の航空技術】
日本の軍事技術がアメリカに一番接近したのは大東亜戦争最中であった。艦船の軍事技術については、日清日露戦争頃からの努力もあって粗同等。航空機については、エンジンでは3年遅れ、小型機機体設計技術は同等、若しくは日本の方が鼻の先リードと言った処までなっていたのである。それを可能にしたのが莫大な軍事費を使って養成された若きエンジニア達である。養成と言っても投資とは即ち冒険なので、投資の対象であった若きエンジニア達も、難しい技術、誰もやった事がない技術に挑戦したのである。
 
例えば零戦。零戦は初期に空中分解事故を2度起こしている。その事故原因究明をし、それがフラッターによるものであることを突き止めたのが海軍空技廠の松平精である。小型機機体設計で日本がアメリカを上回ることが出来た技術の一つは、彼のフラッターの研究により、限界速度が十数ノット程度の誤差範囲で推定が出来るようになり、より軽量な機体を設計できたからである。零戦の設計者の堀越二郎が軽量化を限界まで追求したおかげである。
 
また堀越二郎は部材の強度の安全率が形状・構造・加重の向きにも関わらず一律だったのを、不合理であると宣言して止めてしまう。それを不安視した海軍は金属疲労の研究を行うようになり、零戦以降、日本では機体その物を水槽に入れて荷重を加える疲労試験を一般的に行っていたが、欧米ではそうではなかった。欧米で日本と同様な試験を行うようになったのは、1953年から1954年のジェット旅客機コメット機の墜落事故からである。この研究を先んじた日本の機体はより軽量に出来たのである。
 
機体にくらべ日本は航空エンジンの大馬力競争に負けていた。でも只遅れていたのでは無い。中川良一の設計による誉エンジン(ハ45)は、アメリカの同クラスのエンジンであるR-2800やR-3350に比べ、直径は小さく、燃費、重量あたりの馬力も勝っていた。遅れていたのは過給気であるが、それを除いてもエンジンが設計通りの性能を発揮出来なかったのは、部品の品質が悪かったことである。それは日本の工業力全般が遅れていたことによるもので、言い換えれば当時の殆どの日本国民の技術的スキルは低く、航空関係のエンジニアが一人気を吐いてた状況だったのである。
 
それでも日本の航空機設計が優秀だった証拠に、アメリカ軍でテストされた日本機は何れも高性能を発揮し、例えば時速596km/hの雷電21型(J2M2)が671km/h、時速610km/hの飛燕2(キ61-Ⅱ改)が680km/h、時速624km/hの疾風(キ84)が687km/h、時速609km/hの彩雲(C6N1)が695km/hと、10~14%ぐらい速度が早くなっているのである。陸軍の双発試作戦闘機キ83に至っては、エンジン不良のため全開試験を行えなえず682km/hが最高であったのが、米軍の燃料を吸っただけで実に762km/hの速度を記録している。これを見ても、日本の航空機が性能を発揮出来なかったのは、殆どの原因がガソリンの質であったと言えるだろう。
 
などと言うと、マニア達は「780km/hも出せるP-51Hムタングにはかなわない」、「F8Fベアキャットに勝てる日本機など有るわけがない」と言うだろう。だがどうだろう。戦後アメリカで海軍局地戦闘機・紫電改(N1K2-J)を試験飛行をした米軍中佐が来日した事があった。彼は「ライトフィールドで紫電改に乗って、米空軍の戦闘機と空戦の演習をやってみた。どの米機も紫電改に勝てなかった」と述懐したのである。戦後と言えばマニア推奨のP-51HもF8Fも実線配備されている。彼が「・どの米機も・」と言っている事は、P-51HもF8Fも模擬戦に参加していると見て良いのではないだろうか。おそらく紫電改は日本独自の自動空戦フラップ(注1)で米機を翻弄したのであろう。だが、紫電改が日本の最強の戦闘機ではない。終戦時に日本の最強の単発戦闘機と言えば艦上戦闘機烈風(A7M2)である。
 
烈風(A7M)は堀越二郎最後の設計となった艦上戦闘機である。軍の要求性能は最高速度639km/h以上、航続距離は空戦30分+巡航463km/hで2.5時間(≒2000km程であるが、巡航速度を零戦並にすれば、航続距離は零戦21型を超える筈である)、加えて空戦性能は零戦(A6M3)型並を要求された。軍の干渉により烈風は全幅14mと巨大な機体になったが、抵抗係数が零戦以下と空力性能は抜群に優秀である(A6M3=.0215、J2M2=0.241、A7M=.0207)。ところが軍指定の誉エンジンが不良のため性能が出ず、1割がた馬力の大きい三菱製MK9A(ハ43-11型)に換装して、ようやく仕様に近い性能が出るようになり、空戦性能も自動空戦フラップを使った場合は零戦を圧倒することができた。
 
と言ってもこの性能は当時の欧米の戦闘機と比べれば必ずしも素晴らしいとはいえないかも知れない。しかしこのMK9A(ハ43-11型)にしても、当時は燃料の質による性能低下があった筈なので、アメリカ製のガソリンを吸わせれば他の日本機と同様、10%程性能アップしたのではないだろうか。そうなれば烈風の速度は700km/h近くなり、空戦になればP-51HやF8Fを圧倒していた筈である。P-51Hが780km/h出るといっても、それは緊急時の出力。スロットル・レバーにあるワイヤーを切断しなければ出せない出力なのだ。
 
以上は日本の航空技術が軍事費を投入して、ようやくここまでなったと言う例である。その他にも戦前の日本では既に後退翼の研究も行われていたし、1950年年代にアメリカで発見された、超音速機は断面積の変化も流線型しなければならないという断面積分布法則(エリアルール)は、空技廠の北野多喜雄によって発見(注2)されていたりと、日本の方が一歩進んでいる事も有った。
 
【軍事予算の成果物(例)】
松平 精 :海軍空技廠でフラッターの研究を行う。戦後、鉄道技術研究所で鉄道車両の脱線事故の多くが共振現象によるものであることを実証した。共振対策が新幹線の安全性の一つとなったのは彼のおかげである。
 
山名 正夫:海軍空技廠で艦上爆撃機の彗星、陸上爆撃機銀河を設計。戦後、東大等で航空工学の講義を行う。
 
土井 武夫:川崎航空機(現川崎重工)で飛燕(キ61)他、多数の機体を設計。戦後YS-11の開発の指導的立場だった。ロッキード事件で潰された対潜哨戒機PXLの開発にも従事。現在のP1は彼の遺産で出来たと言える。
 
中川 良一:中島飛行機で誉エンジンを開発。戦後プリンス自動車→日産。現在もアメリカ等で根強い人気のスカイラインGT、GTR、R380は彼がいたから生まれたのである。
 
糸川 英夫:中島飛行機の戦闘機隼や鍾馗の蝶型フラップは彼が考案したものである。戦後、日本の宇宙開発・ロケット開発の父である。彼がいなければ日本の宇宙開発は・・。
 
内藤 子生:中島飛行機で層流翼を設計。戦後富士重工で戦後初となる純国産ジェット練習機の開発に従事。
 
長谷川龍雄:立川飛行機の高高度戦闘機キ94IIの設計者。戦後トヨタ自動車のパブリカ等の設計主査。彼が立川飛行機で研究した『TH翼』が、戦後アメリカからの特許攻勢から日本の航空研究開発を巣救うことになる。
 
久保 富夫:三菱重工業で100式司偵(キ46)、双発戦闘機キ83を設計。戦後、三菱自動車社長。
 
菊原 静雄:川西航空機(現新明和工業)で二式大型飛行艇、紫電改等を設計。戦後新明和工業で飛行艇PS-1の開発に関与。YS-11の開発に関与。世界に冠たる飛行艇US-1も二式大型飛行艇開発時のアイデアが使われている。
 
【消え行く積み上げた資産】
此処に上げたのは、ほんの一例の人であるが、以上を見てわかるように、膨大な投資(軍事予算)の成果は人的資産だけであった。だがそれが戦後の日本で如何に有用な人的資産であったか。彼等は『やらせば出来る子』どころではなかったのだ。軍がなんの投資をしなかったら、現在の日本は人材もいないショボイ国になっていただろう。
 
でも「膨大な投資して成果は金ではないのか」とか「金でない成果など成果ではない」と言う人もいるかも知れないが、もう一度言おう。「お金と言う物は、誰かが借金をしないと世の中に出て来ないのだ」。と言う事は、投資した成果物をお金で欲しいのなら、もっと投資しなければならないのである。
 
残念ながら日本が次なる投資をして来たとは言いがたい。若し日本政府に航空産業を育成する気が有ったなら、航空産業の分野で日本が露・仏・英・中などの後塵を拝してる事など無かった筈である。それどころか自動車産業がそうだったように、アメリカの牙城を脅かしていたことは必至であろう。
 
そこで安倍政権であるが、安倍政権は国防もやる気が無いが投資をする気もない。安倍のミクスと言いながら、消費増税を引っ込めず、カジノや観光で小銭を稼ごうとしてるのは経済が分っていないのだろう。そんな彼を信じてF-35の購入を喜んでいる人がいるが、F-35を購入することで、僅かな研究費さえ削られ、育つべき人的資産が失われる事を理解しているのだろうか。そして今の日本が戦前の遺産を食い潰して生きていることが不安ではないのだろうか。
  

   
   注1:空戦フラップ原理。 
   
    注2:北野の十字翼を使った断面積効果
 
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許しがたい人間が3(4)人いる。賄賂で国産対潜哨戒機PXLを潰した田中角栄、国産FSXを潰しに暗躍した小沢一郎、トロン潰しの孫正義(棚橋祐治)である。もう一人に安倍晋三が加わらないことを祈る。

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