http://kojoryoshu83.edoblog.net/%E6%94%BF%E6%B2%BB%E3%83%BB%E7%B5%8C%E6%B8%88/%E3%83%98%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%97%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%81%AF%E6%84%9A%E3%81%AE%E9%AA%A8%E9%A0%82ヘリコプターマネーは愚の骨頂
「大工殺すにゃ刃物は入らぬ。雨の三日も降ればよい」と言う都都逸が有る。江戸っ子の宵越しの金を持たない生活を表す言葉なのかも知れないが、この仕事が出来なくなる雨を現在のデフレに置き換えれば、デフレの何が問題であるかを言い表す言葉としても使って良いだろう。つまりデフレを放置すると、技術者の腕は落ち、工場の設備は老朽化し、その技術を教える人もいなくなり、結局は日本も自国で物も作れない、慢性インフレの状態が続く発展途上国なような国になるだろう、と言う事である。
従って、デフレ対策は先進国政府の重要課題である。しかし日下公人氏のように、国が積極財政等で通貨供給を増やす事に反対している人もいる。彼は、日本の企業が効率化や如何に客が喜ぶ商品を生むかに努力したのは、デフレだから出来たのであって、国がバラマキをすると、民間は努力しないで政府依存病になると言っていた。駄目官僚に金の采配をさせても、碌な結果にならなかった過去の例も理由の一つである。
確かにデフレは悪い面だけでは無い。人間は制約が有ると、それを補うような工夫をするからである。その一つの例が江戸時代である。昔も今も資源の無い日本であり、さらに江戸時代は海外貿易も行わず、必ずしも物質的に豊かな時代では無かったのであるが、そこは庶民の工夫で乗り切った。
例えば江戸時代では、脱穀でいらなくなった稲藁は、家畜の飼料にしたり、縄にしたり、米を入れる俵にしたり、草鞋にしたりと、あらゆる物の原材料であった。また役目を終えた俵は、燃やせば囲炉裏や火鉢に必要な灰になるし、使い古して捨てられた草鞋も拾われて、刻んで土壁に混ぜる材料として売られたりしていた。
江戸時代は、勿体無いが浸透した超循環型社会だったのある。それでいて庶民の生活がみじめだった訳ではない。現在の日本を彩る多様な庶民文化の多くは、江戸時代に生まれたのである。寿司、蕎麦、うな丼、団子、浮世絵、これら現在海外の人にも人気な文化は江戸時代に生まれたのである。この点を見ると、江戸時代はデフレ不況と言われながら、ラーメン、たこ焼き等のB級グルメやアニメ・漫画等の庶民文化が盛んな、現在の日本に似ていると言えるだろう。
しかしである。江戸文化は庶民の工夫や勿体無い精神だけで生まれたのでは無い。江戸庶民に旅行ブームが起き、飛脚等による通信網が有ったのは、街道が整備されていたからであり、その街道は参勤交代と言う武士階級の無駄が有ったからこそ整備されていたのである。それどころか江戸文化の中心を形成した江戸と言う都市は、武士の為の都市だったのである。
江戸の人口は120万程、現在の東京もそうであるが、江戸も世界最大の都市であった。江戸の人口の半分は武士であり、残りの半分は江戸は武士を支える為の町人と、その町人を支える為の町人であった。武士は何も生産せず、百姓が納める年貢で成り立っている階級なので、武士階級が無ければ消費も生まれず、江戸と言う都市も存在しなかったのである。
従って、豊かな江戸文化は、片や勿体無いや節約の循環型社会の一方。もう一方では武士階級という大いなる無駄が有ったからこそ生まれのである。これを、現在のデフレ対策論に当てはめると、勿体無い・工夫の循環型社会、つまりデフレ志向の経済を進める一方、片方で大いなる無駄政策も進めるべき事にならないだろうか。
ところが、その江戸時代が破綻、否、破壊されたのは黒船来航によるものである。武士階級の無駄が、なんら役に立たない本当の無駄になったからである。そして武士階級は無くなり、その無駄は国防力増強に充てられた。それが明治維新である。
その状況を現在の日本に当てはめると、黒船は尖閣諸島等での支那による恫喝や、北朝鮮の核弾頭ミサイルを使った示威活動、あるいはロシアによる北方領土での対艦ミサイル設置等が該当するだろう。但し江戸時代と違うのは、現在の日本は武士階級に相当する、削るべき無駄が無い処である。そこで改めてデフレ対策の出動になる。
高橋洋一氏試算によると、現在のデフレギャップは20兆円程ある。江戸時代が庶民による勿体無い精神が生んだ経済のように、現在の日本のデフレも庶民による政府への贈り物である。それならその金は全額現在の黒船対策費、即ち国防費として使うべきではないだろうか。
江戸時代の黒船来航が日本に脅威だったのは、軍事技術、特に日本に科学技術が足りなかったからである。それと同様、現在の日本に足りないのは、武器弾薬もさることながら、最新の軍事技術、その周辺の科学である。従って、20兆円を国防費に充てると言っても、全額武器弾薬に充てるべきではない。国防費の殆どは研究開発費に充てるべきである。研究開発費は若い人材を育てる教育費と言っても良い。これも国防の一環である。当然、海外兵器の購入等は論外である。
「デフレギャップの20兆円は国防費に」。これをデフレ対策と言うべきかどうかは定かではない。しかし現在の日本に置かれた状況は、軍事力増強が待ったなしである。つまり無理に需要喚起などしなくても、有効需要が有るのである。
この状況を無視して、只デフレと称してデフレ対策を行うと、それこそ折角育った勿体無い精神も失われ、政府依存病が蔓延し、日本経済は衰退に向かうだろう。特に一部経済学者が言っている「ヘリコプターマネー政策」などは愚の骨頂である。
要約:
日本はデフレで有るが、それで国民が不幸せかと言うとそうでもない。失業率は先進国の中でも最低レベル、物は豊富で物価は安定しており生活設計は立てやすい。むしろ日本は世界が羨むような国なのだ。なので敢えてデフレ対策が必要な訳ではない。は「デフレ対策の目的は何か?」、「デフレ対策の処方箋は何か?」であるが、デフレ対策の目的はずばり国防力強化の為である。
*2016年の各国の失業率 %
日本 3.12 (2017年は2.89%)
スイス 3.32
韓国 3.71
中国 4.02
ドイツ 4.17
ノルウェー 4.70
アメリカ 4.85
イギリス 4.90
オーストラリア 5.73
オランダ 5.88
デンマーク 6.19
カナダ 7.00
フランス 10.04
イタリア 11.65
スペイン 19.64
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安倍首相は憲法改正した総理大臣として名を残したいのだろうが、何の為の憲法改正か?。まだ消費税10%引き上げを言っている処を見ると、国防のことは頭に無いようである。消費税10%引き上げは、憲法改正の為には周りに敵を作らない事と、考えたのだろう。しかし消費税を上げると、経済は落ち込み、デフレギャップの20兆円は無くなる。結果、国防力増強も、科学技術育成も無くなる。まったく本末転倒である。
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