http://kojoryoshu83.edoblog.net/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E8%A3%81%E5%88%A4%E5%8F%B2%E8%A6%B3/%E3%80%8E%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%8E%E3%83%8A%E3%80%8F%E3%81%AE%E8%AA%AD%E3%81%BF%E6%96%B9『ヴェノナ』の読み方
2つ前の『本の紹介、自主防衛を急げ』の記事のコメント欄に、日本とアメリカが戦争になった経緯について、『日本の国際社会での孤立化が日本を戦争に追い込んだ理由であり、アメリカが日本を陥れる必要はなく、日本の行動が禁輸を招いたのだ』との説を述べる方(三宅烈士氏)がいました。
いわば、アメリカは戦争をする意思はなく、日本の行動が窮地を招き、勝手に戦争を始めたととの解釈です。全て日本が悪い。まさしくこれが東京裁判史観です。
殆どの日本人は現在でも、そう思っている人が多いと思いますが、ところが、戦後明らかになった処では、アメリカに戦意が無い何どころではなく、ルーズベルト周辺にはソ連のスパイであるコミンテルが一杯いて戦争を画策していたことが分かってきました。
日本が開戦を決意するに至った、『ハル・ノート』の素案作成に参加したハリー・ホワイトもその一人です。コーデル・ハルが書いたハル・ノートは穏やかのものだったと言います。しかし独ソ戦に備えていたソ連は日独からの挟撃を恐れ、日米開戦を望んでいました。当然ソ連の意を汲むハリー・ホワイトの工作目的は、日米戦争の画策です。
また、チャーチルと親しかったルーズベルトは、イギリスを軍事面でも支援をしたかったようで、これも日独伊3国同盟の一員である日本とアメリカが戦争になれば、必然的にドイツに宣戦を布告したことになり、日米戦を望んでいたと思われます。
しかし当時のアメリカ人の多くは戦争に反対でした。それを戦争に引き込むのが『裏口から戦争へ』と言われるハルノートです。アメリカが日本を陥れる必要はないどころか、ルーズベルト政権は対独戦に参戦する口実を探していたのです。
それだけ無く、ルーズベルトはフーバー元大統領が『ルーズベルトは狂気の男』というような偏執的な人種差別者です。特に日本人に対しては嫌悪感を持っていました。ルーズベルトは支那人が好きだったと言われますが、そうではなく白人に伍してきた日本人のほうが、支那人より嫌いだったにすぎません。でなければ『人種改良論』など言いません。
以上が、ルーズベルト政権が3つの理由で日本に対して戦争をしたかった事と、日本を陥れる理由があった事の説明です。それに対して日本は満州の権益を守りたいのと、石油を得ること以外戦争する目的が有りません。
ところが三宅烈士氏は、『ハリー・ホワイトが共産主義のスパイである、という類の話はマッカーシズムの産物です』と言います。インターネットを駆使する読者の皆さんにとって、ハリー・ホワイトが共産主義のスパイは周知の事実ですが、まだご存知でない方のために、ハリー・ホワイトがスパイだったとの出所である『ヴェノナ文書』の事を少し説明します。
と言っても、かなり前に中西輝政監訳の『ヴェノナ』を買ったのですが、途中に余計な本を読んだりしているもので、まだ全部を読みきっていません。と言うことで、出来るのは簡単な説明だけです。
『ヴェノナ文書』とは、『ヴェノナ作戦』と名付けられた、第二次大戦前後に米国内のソ連スパイ達とモスクワの防諜本部との間でやり取りをした、約3000通以上の秘密通信を解読して得られた文書です。
それが公開されたのは、ソ連崩壊後モスクワで発見された資料の中に『ヴェノナ作戦』なるものが見つかり、それを指摘した文書を読んだモイニハン・上院議員が『ヴェノナ作戦』なるものが有ることを知り、公開に向けた働きかけを行ったと同時に、ヴェノナ作戦に従事した人間の中にも、『絶対解読されない』とされたソ連の暗号を解いた自分達の功績を、是非公にして欲しいとの要望があり、公開に踏み切ったものです。
『ヴェノナ作戦』で明らかになったソ連スパイは、前述のハリー・ホワイト、ラフリン(ロークリン)・カリー上級補佐官、OSS(CIAの前身)高官だったダンカン・リーやフランツ・ノイマン、米陸軍で暗号解読に関わっていたウィリアム・ワイズバンド、アドルフ・バーリ国務次官補等がいます。
後は書ききれないので割愛しますが、『ゾルゲ=尾崎事件』に関与していた宮崎与徳なども登場します。ルーズベルトの周辺にはホワイトやカリー、近衛文麿の周辺には尾崎秀実と、まさに日米でソ連と通じた共産主義者が戦争を起こそうと暗躍していたのです。
現在公開された『ヴェノナ文書』には、直接日本への謀略活動や、日本を戦争に導いた記述は有りません。
しかしラフリン・カリーの、『1941年7月23日のフライングタイガースによる日本本土爆撃計画』に対するインタービューに、『計画は私が中心となり推進し、このことは、もちろん米国首脳は十分了解していた』と答えているのですから、真珠湾前にルーズベルト公認の下、ソ連のスパイ達が日本に戦争をしかけ、さらに日本と支那を戦争させようとしていたのは明らかです。
従って『ヴェノナ文書』だけ読んでも、アメリカの意図や日本が戦争をするに至った経緯は分からないと思います。それを理解するには、2012/09/12『東京裁判史観』で紹介したチャールズ・A・ビーアドの『ルーズベルトの責任』や、支那に居て現地から現状を分析したラルフ・タウンゼンやフレデリック・ヴィンセント・ウイリアムズの記述等を併せて読むべきでしょう。
中でもビーアドはルーズベルトの不可解の行動を戦争に導こうとしていると洞察し、タウンゼンは、真実を隠して日本の脅威のみ伝え、大衆を扇動する異様な報道を、共産主義の宣伝力と正しく分析しています。
ところが現在でも三宅烈士氏のように、共産主義者の宣伝そのままに『欧米資本を容赦無く破壊する日本からは、戦争する意志がつたわってきます』とトンデモ説を言い出す人間が現れてくるのが不思議です。
左翼は印象操作をし、支那人・朝鮮人は嘘を真実だとがなり立てて、歴史を偏向し又は捏造しようとしますが、少なくてもインターネット世界では、もう通用しなくなっています。
インターネット世界でも玉石混合、嘘・捏造・印象操作は満ち溢れていますが、ネットで調べる人間は何れ一次情報を探し出します。そして真実は、複数の一次情報を照らし合わせることで見つけられるのです。その一次情報の一つが『ヴェノナ』です。
ジョン・アール・ヘインズ&ハーヴェイ・クレア、中西輝政監訳『ヴェノナ』定価3200円。買ってね。
左:フレデリック・ヴィンセント・ウィリアムズ『中国の戦争宣伝の内幕』。右:ラルフ・タウンゼント『アメリカはアジアに介入するな』。
R・F・ジョンストン、中山理訳、渡部昇一監修『紫禁城の黄昏』(祥伝社版)
腹立たしい事に、
岩波文庫版の『紫禁城の黄昏』は、原文では『皇帝が絶対に頼りたくない人間が、蒋介石と張学良だった』となっていたのを『世界中で一番最後に頼れる人物が、蒋介石と張学良だった』と間逆に訳している。実は皇帝が頼りたかったのは日本だった。しかし日本は侵略心旺盛どころか自重していたのだ。又、原著の清朝を建国したのが満州族であるとの記述がある第一章から第十章を全部省略している。中共に遠慮しているためだ。左翼はこういう汚い事もやる。左翼が書いた本を買うのはやめよう。
『ヴェノナ』の最後の方に、『イデオロギーが育てたスパイ』と『洗脳の恐ろしさ』のタイトルの項がある。アメリカの共産党員は何故ソ連の防諜活動に協力したのか疑問に思ったのであろう。彼らは脅されたり金欲しさから、あるいは精神的な異常うえにスパイになったのではない。共産主義イデオロギー上の忠誠心から、防諜活動に加わったのである。
又ロシアからの移民については、共産主義思想とロシアとの愛着が一つになって、アメリカ国民より、ソ連という国家への愛国心がはるかに強かったのだろうとしている。
それと、現在の日本の支那・朝鮮に親近感を持つサヨクや帰化人の言動を重ねてみると、良く似ていることが分かる。現実を直視せず他国に理想を求めて自国を破壊しようとする日本のサヨクも同じなら、帰化しても日本国民でいるより、依然嘗ての祖国の同胞への愛着心が強い支那・朝鮮系の帰化人も同じである。
はっきりとした結論こそ出ていないが、示唆に富み考えさせる項である。もっとも日本の現在にサヨクは、イデオロギー上の忠誠心など無く、日本を貶めることに喜びを感じる変態にしか見えないけど。