チャンネル桜の討論番組を見て「馬鹿かよ!」と叫んだ記憶はあまりないが、今回の『どうなる?どうする?TPP』では何度も 「馬鹿かよ!」 と言ってしまった。その一つがTPPで問題となっている農産物=米に関しての討論の時であった。
亀井亜紀子氏が食の安全保障としての食料自給率の問題、即ち緊急時の海外から食料が入らなくなった時のシュミレーションでは、米の自給どころでは無く、カロロリーベースでは米を止めて畑に芋を作らなければならない事になるを述べた時、田中秀臣氏が話を遮るように「亀井さんの前提となる安全保障と言う物が何時も疑問なんですけど、その話で行くと日本はなんか何らかの事情でで完全鎖国して、戦中と同じような、又は戦後と同じような状況に陥るという暗黙の前提にされているようですけど、それって果たして本当に今深刻に考えるべき問題なんですかね」、「最悪の想定とは隕石が地球に墜落とかで、亀井さんの想定している事は極端な例で・・」とか。
上がその場面である。皆唖然とした顔をしている。「亀井さん。貴女の考えは正しい。あらゆる事を想定して安全保障を考えるのが政治家の仕事です。空理空論の学者の言っていることなど真に受けては駄目ですよ」
海外から食料が入らなくなる想定が極端だと言ったら、日米安保条約を結んでいることも、自衛隊が存在する理由も極端なことを想定していることになる。それが無意味というのか。
田中秀臣氏は隕石落下だけで思考停止をしてしまうようだが、隕石落下だって、直径10kmの隕石なら日本列島が消し飛び人類存亡の危機を迎えるので対処は出来ないかも知れないが、直径100mなら山手線内が消し飛ぶ程度なので国家は残るなど、如何様にも考えられる。当然その時国家や政府が存在すれば、そのような事が起きても対処しなければならないだろうし、それなら国は如何なることが起きても最善な対処が出来るように、あらゆる事を想定すべきなのである。
田中秀臣氏が極端だと思っていても、他の人間にとっては想定内の事かも知れない。田中秀臣氏の問題は、彼の想像力の有無の問題では無い。田中秀臣氏の考え方の問題は、思考の途中の何処かで思考停止したことである。そして彼が言う『極端』とは彼が思考停止した処にすぎないのに、他の人にも思考停止すべきだ言っているのに等しいのである。ようするに討論の邪魔。
「田中秀臣先生。事象を解明するには物事を単純化して考えると同時に、極端な事例を想像してそれに当て嵌めて検証しなければならないんですよ」。極端な事例を想像するのがその道のプロの仕事。まあ空理空論の経済学をやっていれば物事に真剣に考える事が無いのかも知れませんが。
処が金子洋一氏も田中秀臣氏と頭の構造は同じだった。「そういうケース(最悪な事)を想定されたときに当然、当然石油などエネルギーの輸入も途絶する訳ですよね。そうしたら例えば田舎に米や芋が有る、それをどうやって都会に運ぶですか?。大八車で運ぶわけでしょうか」と言い出した。
「馬鹿かよ!」それを考えるのが政治家の役目ではないか。関岡英之氏が割り込んで来たので、その後金子洋一氏が何を言いたかったのか分からないが、彼も想定外な事は思考停止をし、思考は他人任せ。
「金子洋一先生、田中秀臣先生、世界には九州の縄文人を絶滅に追い込んだ喜界島カルデラ以上の火山一杯あるんですよ。噴火すれば勿論北半球は冷夏」。
更に上がいた。原田泰氏である。「(食料の輸入が途絶えることは)農業にとっては良いことじゃないですか。減反をしているわけだから」だと。
食料自給率の低い日本で、海外から食料が入らなくなる事は国民が飢えて死ぬ状況である。それが農業にとって良いことか。農家と国家の存続を考える農業と勘違いしているのでは無いか?。原田泰氏は、稲作を止めて芋を植えるような事態は農水省の過大シュミレーションによるものだと言う。又原田泰氏は、そのような状況になっても、現在は機械が有るので農地を復活するのは容易であると言う。
それなら、農地が減り農民が減った後、どのくらいの速さで食料を生産できるかのシュミレーション結果を見せて貰おうか。
TPP推進者の頭の程度はこんな物である。「馬鹿かよ!」である。これだけでもTPPは駄目である。
ただ同じTPP推進論者であるが、田村秀男氏の事を一言弁護して置く。彼のTPP推進の理由はアメリカの懐に入る事が日本の生きる道と考えているようである。勿論他のTPP推進論3人の想定外の安全保障である。
「でも田村秀男さん。アメリカってそんな誠実な国ですか。次に共和党政権が出来たらアメリカは完全に内向きになりますよ」。「内向き=外など知りたくも無い」です。
1/3【討論!】どうなる?どうする?TPP[桜H25/12/14]
3/3【討論!】どうなる?どうする?TPP[桜H25/12/14]
その他:
田中秀臣氏:「ネットでアメポチとか言われた。(TPPは)アメリカの陰謀だと書き込むのがいる」。
最近不思議な事に、TPP反対の理由を上げると「陰謀説」の一言で片付ける人がいるようである。陰謀説=トンデモ説、軍備増強=戦争=悪、悪い言葉と結びつけて言論を封じる、左翼の手法と同じである。
でも、こんな情報も有る。
「これって陰謀じゃないか?」。別に謀略でも、計らいでも構わないが、世間ではこれを陰謀と言う。氏がアメポチと言われるのは、氏が言っていることが他の者に理解出来ないからだろう。
金子洋一氏:「食料が来なくなることは考えられない」
嘗てアメリカは他国に対して度々禁輸を行った。勿論日本に対してでもある。1973のニクソン 大豆禁輸である。そして穀物は戦略物資である。さらに戦略物資だった石油の禁輸は、日本が戦争を起こさなければならない状況に陥れた。金子洋一氏は歴史から何も学んでいないのではないのか?。
田村秀男氏:「TPPに入ると米作農家が潰れると言っているが、アメリカは米をそんなに作っていないない。否、作れない」
でも、人間の胃袋は一つしかない。日本人が米以外の別の物を食べた時点で米の消費は落ちる。つまり日本の米作農家が潰れる。つまり食の安全保障の安全保障が脅かされることだ。「農家の所得保障をすれば良い?」。そこまでしてTPPを加わる理由は?。
TPP推進論者は総じて、現在の日本の食の安全保障が失敗であると言って、農業政策を批判していたが、解決がTPPに有ると言いたいのか?。むしろ日本の食の安全保障に止めを刺すことではないか。
又、特に気が付いたのは、TPP推進論者は『自由貿易信者』なことである(TPP反対の人の中にも信者はいる)。それが為か彼らは、財政破綻論者が国と家庭の財政が区別出来ていないように、国家と企業の区別が付いていないようである。
例えば、同じ商品を売っている企業同士が他社の商品を売り買いしたところで、両社が繁栄するわけではない。否、そのようなことはしない。又、企業は物やサービスを売って代金を得なければ存続できないが、国は別に海外に物を売らなければ存続出来ない訳ではない。処が『自由貿易信者』は外貨を稼ぐことが豊かになることだと信じて疑わないようである。
これが大きな錯覚である。海外に物やサービスを売ることは、海外の人のために働くことである。海外の人のために働き、得るのは外国の政府の発行した貨幣である。共通通貨で有っても、それは自国でも発行できる他国が発行した貨幣である。
例えば足利時代に日本は明からある物を輸入していた。銅銭である。理由は急速に発展した商業に貨幣に対する需要が高まった為であるが、明の銅銭の引き換えは硫黄や銅、刀剣、漆器などであった。でも普通の人なら「馬鹿ばかしい。輸出できるぐらいの銅があるのなら、日本で銅銭を鋳造すればよいではないか」と考える筈である。
処が現在風解釈をすれば、それが「日本は輸出をして外貨を稼いで豊かにになった」となるのである。それって可笑しくはないか?。
又、植民地時代、欧米諸国は東南アジアで現地の安い労働力を利用して香辛料やコーヒを栽培させ、それをヨーロッパに高く売りつけ大儲けをした。食料を生産していた農地に香辛料やコーヒを栽培させられた現地では深刻な食糧危機に陥り、現地人の寿命は35歳程度に低下した。
でも植民地時代なので、大儲けをしたのは白人で、現地人は一方的に搾取されたのであるが、それって現在の多国籍企業と発展途上国の関係に似てないだろうか。貿易が盛んになり、人々に雇用の機会が得られても、潤うのはその国の人では無い場合だって有り得るのである。
それでも貿易により人々が豊かになった例もある。それは江戸時代の日本で蝦夷地との交易の事である。国内交易なので、貿易とは違うといわれるかも知れないが、貿易による人々が豊かになった例と言って良いだろう。
蝦夷地との交易は、蝦夷地が産出するものは、内地に無いコンブやホシカ(魚の肥料)であり、当時の足の短い帆船による交易であった為、途中の停泊地が必要となり、停泊地になった所はその無駄のために大いに栄えたのである。無駄が富の分配だったのであるが、帆船が汽船に変わると停泊地は素通りされ衰退することとなった。
貿易により人々が豊かになる理由として考えられるもう一つは、大量生産や適材適所による効率である。効率が良くなれば、余った人間を別の生産に振り分けられることが出来るからである。
しかし国と国との貿易では、効率化による余った人間を別の生産に振り分ける事が出来るとは限らない。帆船が汽船に変わったことで、衰退した酒田市のようになる可能性が出てくる。特にTPPのような硬直した自由貿易と言う名の管理貿易は、富の分配が全く保障されていない。
それ以上に、自由貿易の一番問題なのは、国家が将来を見越して育成する若い産業の芽を摘んでしまう可能性があることである。現在航空技術やOS、CPUはアメリカの独断場である。政府調達も内外無差別となれば、日本の防衛産業は壊滅するだろう。
日本人の能力が無かったわけではない。嘗て日本の航空技術がアメリカに拮抗したときが有った。それは何と、アメリカが日本との戦争を控え、航空機の輸出を止め、航空機技術の流出を止めたときだったのだ。つまり自由貿易で無くなったことで日本人技術者の才能が開花し、日本のその後の発展に貢献したのである。
前回に続き、思考の不徹底な人間の批判となってしまった。