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崗上虜囚の備忘録

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能登半島地震で観測された地動変位

令和6年1月1日の能登半島地震で記録された加速度は、岩手県宮城県内陸地震で記録された4022[gal]に次ぐ、日本で記録した第2位の2678[gal](26.78m/s/s)だったのである。実に2.7Gの加速度が建築物に加わったのである。従って建築物の倒壊等が起きたのは当然であると思うかも知れない。でも最大加速度だけ見ても建築物の倒壊が起きるかどうかは分からない。
 
例えば、机の上に小さいビスを乗せて机を叩くとビスが飛び上がる筈である。この時の机の振動は1Gを越えてるが、しかしこの振動では建物は壊れない。振動の変位量が小さすぎるからである。
 
建築物の倒壊は応答スペクトル(図1参照)を見て予測するのが一般的であるが、個々の建築物の共振周波数など知らないので、そこで加速度波形を2重積分をして変位データを求めて、能登半島地震では地動がどのような動きをしていたかを考察して見たい。
 

  図1、防災科学技術研究所が提供している応答スペクトル図
 
図2は、最大加速度を記録した富来観測点の主要動と思われる60秒間の加速度波形である。チャンネル番号は勝手に割り振った番号で、そのうちの0060(aABS)はUD、NS、EW成分のベクトル合成である。
 
  
  図2、富来(ISK006)観測点の加速度波形+ベクトル合成波形(aABS)。
注、0060(aABS)に負の髭のような物が見えるがソフトのバグかも知れない。
 
図3は加速度データの最初から求めた300秒間の変位波形であるが、地震終了後も直線的に変位値が上昇している。理由はこの地震の途中から地面が傾いたからでは無いかと思われる。何故なら垂直成分(dUD)の変動が見られないからである。
 
  図3、富来(ISK006)観測点の変位波形(フィルター無し) 300秒間
 
そこで加速度波形と同じ時間だけ切り出して表示すると、図4のようになる。
  

 図4、富来(ISK006)観測点の変位波形(フィルター無し)30秒間

それでも地面傾きの影響と思われる結果であるので、100秒のハイパス・フィルターを掛けると図5のようになる。波形の後半がうねっているのはフィルターの影響である。
 

 図5、富来(ISK006)観測点の変位波形(HPF=0.01Hz)30秒間
 
最大変位量は各成分で数十センチ有ると思われるが、変位は数十秒の低周波であるので、橋などの地面の変動に影響される建造物とは違い、建築物の倒壊の原因にはなり得ないと考えらえる。
 
加速度波形のパワースペクトル(図6参照)を見ると、加速度の主要動は1HZ以上で10Hz以下のようなので、変位波形に1Hz〜10Hzのバンドパス・フィルターを掛けて見る(図7参照)。
 
  図6、富来ISK006)観測点の加速度のパワースペクトル
 
  図7、富来(ISK006)観測点の変位波形(BPF=1Hz〜10Hz)
 
そうすると、最大変位量がUD成分で±15mm、NS成分やEW成分で±4cm程度となった。恐らく水平成分の数センチの揺れと共振現象が建築物の倒壊の原因になったであろう。但しこの最大変位時の加速度がどの程度か調べるべきであるが、興味が別の処に移ったので先に進む。
 
そしてその興味と言うのが、地中はどのような振動で有ったかである。幸い珠洲(ISKH01)観測点は地下100mの地中埋設の加速度計と地表の加速度計が設置してある。(実際には観測点は海抜50m程に有るので、海抜-50mと海抜50mの観測である)
 
その結果が図7の加速度波形と、図8の変位波形である。変位波形は100秒のハイパス・フィルター(HPF=0.01Hz)を掛けてあるが、珠洲(ISKH01)観測点では、低周波の変位が地中も低地上も同じ動きをしており、どの成分の±の変位量の幅が1m程になっていたのである。
  
 
  図7,珠洲(ISKH01)観測点の加速度波形
  aU1,aN1,aE1が地中加速度、aU2,aN2,aE2が地上加速度成分である。
 
 
  図8,珠洲(ISKH01)観測点の変位波形(HPF=0.01Hz)
 dU1,dN1,dE1が地中変位UD,NS,EW、dU2,dN2,dE2が地上変位UD,NS,EW
 
これをどう見るべきなのであろうか。能登半島地震の震源の深さは16kmであるが、震源は珠洲(ISKH01)観測点の間近である。やはり加速度計が断層の複雑な動きを捉えたと見るべきでは無いだろうか。
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