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2012/05/24の産経のコラム欄に評論家屋山太郎氏の書いた記事が有った。タイトルがトンデモの 『 コメ例外扱いは世界の非常識 』 だったので、批判記事を書こうとしたら、チャンネル桜の水島聡氏もトンデモだと思ったらしく、番組で批判をしていた。先を越されたので、その補足をしてみたい。
屋山氏の言いたい事は、例によってTPPへのお誘いであるが、その理由として彼は、日本の戦後の繁栄は、GATTが有ったからだと言う。
まるで、外国のおこぼれを頂戴して生きてきたのだから、これからも外国の言うことを聞けとでも言ってるようである。確かに自由貿易によって、日本は自国に産出しない資源等を買う事が出来た。ついでに資産も増やすことが出来た。
しかし、日本がGATTの恩恵を受けたからと言って、第一、GATTもTPPも、貿易で生まれる歪、即ち失業や貧富の拡大、気候変動による食料不足等に、責任を取ってくれる機関では無い。それらの問題を解決するのは、個々の国の政府の責任である。従って国により、貿易を制限する場合が有るのも当たり前である。
それより、そもそも大東亜戦争は、国の血液とでも言える石油の輸入が出来なくなったから、やむなく開戦したので有って、自由貿易が出来なくなったから開戦したのでは無い。GATTなど無くても、石油さえ輸入できれば、日本が発展したのは間違いない事であった。
戦前の日本は、科学技術においても欧米に遅れており、多くの機材が欧米の輸入に頼っていた事は事実である。しかし日米間の緊張により、アメリカの禁輸措置が取られるようになり、輸入出来なくなった時、どうだったか。むしろ外国製品が入って来なかった為に、日本国内で作るようになり、日本の技術力は高まったのである。
今も航空技術に関しては日米間に相当な開きがあるが、日米間の航空技術の差が最も小さくなったのは、アメリカから先進的技術が途絶えた、開戦前後であったのも事実である。従って、自由貿易で無いと繁栄出来ないとの考えは間違いである。必要な資源さえ手に入れることが出来れば、放っておいても日本は繁栄する国である。
屋山氏はTPPを薦めるため、世界貿易から孤立すると日本は繁栄出来なくなると脅すが、それは、自由貿易と戦争目的であった石油禁輸等を天秤に掛けさせるような極論である。極論を言うなら、自由貿易でも常に禁輸されることも念頭に置けと言うべきであろう。それならTPP加入は、危険で有るの結論になる筈である。
そして問題は、屋山氏のコメに対する見方である。まず、エネルギー・食料は、国の根幹である。当然、食料不足等の問題解決の責任は、国毎にある政府である。実際、日本はエネルギー・食料不足に苦労した。
例えば終戦直後、日本は厳しい食糧難に見舞われた。供出された備蓄米は悉く輸送船と共に太平洋の藻屑となり、加えて外地から復員してきた日本人の数が、戦争で死んだ人間より多かったからである。
政府はコメの増産を図った。胸まで漬かる泥田や棚田にも、より増産が図られた。一反当たり何表取れるかの競争をしたのも、この時代である。勿論、食料を輸入したであろう。しかし、当時の日本には金も無かった。
そして、池田勇人首相の「貧乏人は麦を食え」の時代を経て、全ての日本人がコメを食べられるようになった。農民達の努力の賜物である。食料が自給出来るようになり、輸出も好調になり、日本は世界有数の国になった。日本は自信を持った。松村謙三氏が支那の要人に、食料自給の重要性を説いたのも此の頃である。
処が現在、日本の食糧自給率は40%程度(注1)。屋山氏は「大規模集約化で国際競争力をつけろ」と言う。目的は食糧自給率が低いからでは無い。農協を槍玉に上げてに色々言っているが、ようするに日本の農産物は高いと言っているのだ。
日本の耕地面積が小さいのだから、高いのは当たり前である。しかし面積当たりであれば、おそらく日本の農業生産高は世界一・二を争う筈である。それが大規模集約化にすると、棚田のような小さな耕地は放棄され、日本の食糧自給率はさらに下がることは目に見えている。
当然、失業者が増える。TPPに加入する事とは、大規模集約化に成功した一部の農家だけが生き残り、失業者が増え、食糧自給率を下げることのようである。一体、何の為に。
多分TPP推進者は、高く付く日本の農業など止めて、別の事で稼げばよいと言いたいのであろう。だが先に述べたように、エネルギー、食料は、国の根幹である。もしそれ等が、安定して手に入れることが出来るのなら、国も必要が無くなる筈である。
だがやはり現実は違う。ABCD法網の石油禁輸も、オイルショックも、アメリカが行った大豆の禁輸も、昨日の今日の出来事である。イランに対する制裁を見ても、貿易によって他国をコントロールしようとする手法は、昔も今も変らない。
人によっては、食料の禁輸を行うと禁輸する国も困るから、今後そのような問題は起きない筈と言う人もいる。しかし、それこそ喉元過ぎれば熱さを忘れると言うものである。又、終戦直後の食料難のときを忘れ、日本のコメは高いと文句付けている人間は、天に唾しているようなものである。
TPPか否かの議論は、グローバリズムと国家のどちらを選択するかの議論に行き着く。屋山太郎氏は、人権救済法を反対する等、保守の評論家の筈である。しかしこの 『 コメ例外扱いは世界の非常識 』 やTPP推進の姿勢を見ると、国家の概念が希薄なのでないだろうか。GHQ憲法の 『 正義と秩序を基調とする国際平和 』 の精神同様、他国依存精神そのもののような気がする。
また屋山氏のもう一つの錯誤は、貿易を行うと国が繁栄すると思っている事である。現在、日本の対外資産は世界一である。全て貿易で稼いだ金である。だがそれにより、日本人がそれに見合う豊かさを手に入れたのであろうか。
実は貿易で貯まった金は、狐狸の類が支払った木の葉の金ではなかったのか。木の葉の金でも、石油資源等の必要な物が買えるのは良いだろう。資源を買うために、輸出競争に勝たなければならないのも確かである。だが、金が貯まるのは買うものがないからであり、そして貯まった金は、何れ木の葉に戻る。
貿易至上主義者は、木の葉の金を溜め込む為に働く事より、自国の為に働くことの方が、豊かになる事が分かっていないようである。TPP論議で話されているのは金・金・金である。しかしそれは木の葉で作った金である。現物と国民の豊かさを語らないTPPは、世界の非常識である。
注1:カロリーベースである。生産額ベースでは66%の数字もあるが、外国産が安いので当たり前である。その他、コンビニ等で捨てているのを計算に入れれば、自給率60%程度は可能との試算もある。
秋の田の刈り穂の庵の苫をあらみ我が衣手は露にぬれつつ(季節違いだが)
前にも書きましたが、私の叔母は去年農業を止めました。3代にわたり、女性だけで農業をしていたのです。収入は少なく、やってきたのは執念だといいます。それでも、たまに送ってくれる米は、驚くほど美味しく、おかずがいらない程でした。
こういう農家が全国で一杯あるでしょう。果たして彼等が農業を止め、他の職業につかせたり、生活保護を与えたりする事が、日本のためになるのでしょうか。
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